第52回 スペイン・アパレル業界とInditex社

1月6日の公現祭Día de los Reyesが過ぎると、7日からは例年通り冬のバーゲンが“オフィシャルに”スタートします。“オフィシャル”というのも、この冬休みにはクリスマス後や新年早々からすでにバーゲンの札を掲げているお店が目立ちました。

何でも以前はバーゲンの開始日は州ごとに決められており、店舗はそれに合わせなければならなかったのですが、数年前に自由化されて各企業・店舗が開催日を決められるようになったそうです。それでも今までは主なブランドはほぼ7日からと足並みをそろえていたのですが、今シーズンはLos Reyesのプレゼント商戦を狙って早々に始めるところも多かったようです。

例年通り「7日から」を貫いたのが余裕を感じさせるスペイン唯一のデパートEl Corte InglésとInditex社の各ブランド。「インディテックス」という名前はピンと来ないかもしれませんが、日本でも人気のブランドZARA(ザラ、こちらではサラと呼びます)の企業です。ZARAの他にもMassimo Dutti、Bershka、Stradivarius、Oysho、Zara Homeなどなど数多くのブランドを展開。積極的に国際進出もしており、全世界に7000以上の店舗、アパレル業界売上世界1位です。

その創業者、アマンシオ・オルテガ氏は2016年の世界長者番付第2位!数年前にはあの万年長者番付1位のビル・ゲイツ氏を抜いて一時トップに立ったことさえあるのです(そんなすごい人がいて世界1の企業があっても国の経済はイマイチなのね、と思ってしまうのは私だけでしょうか…)

新店舗を続々と増やすのもInditexの戦略、バルセロナの中心地であるカタルーニャ広場付近にはZARAがすでに4店舗ありましたが、さらに12月初旬、カタルーニャ広場に面した場所に“flagship”店(旗艦店)として大型店舗を新規オープンしました。1930年代に銀行の本店として建てられた由緒ある建物、オリジナル建築をなるべく残す形で改装されています。

この店舗に先日初めて入ってみました。建物中心部は大きく丸く天井まで吹き抜けになっており、見上げると美しく装飾されたガラスの丸天井に思わず感嘆の声が出ます。モザイク模様の入った大理石の床、広々とした空間を演出する丸い吹き抜けに並ぶ美しい円柱など、建物と買い物が一気に楽しめるなかなかユニークな店舗になっています。思わず天井の写真まで撮ってしまいました。

新店舗ということでハイテクも取り入れられているようで、今回私は試着しなかったので見ていませんが、各試着室にはタブレットが装備されており、その操作で試着室にいながら外にいる店員に試着した商品のサイズ・色違いを頼むことができたり、その商品とコーディネーションさせるための別の商品を勧めてくれたりするのだそうです。新しい!

積極的な店舗展開と国際進出、そして早いサイクルでどんどん豊富な新商品を出していくスタイル、抑えた価格で成長を続けるインディテックス社、スペインでは今のところやはり断トツ、その後を近年成長の著しいアイルランドの激安ファストファッションブランドPrimark(プリマーク)が追います。逆に他のブランドは業績が思わしくないようで、それもあってバーゲンを前倒ししているのでしょう。

数年前から話が出ては、出店地も時期も二転三転して未だにスペイン進出していないユニクロも、2017年にはバルセロナについに出店する予定だそうです。アパレル世界1位の座を狙うというファーストリテイリングはインディテックス帝国に入り込み、超えることができるのでしょうか。安くてデザイン性のあるものが豊富なスペイン、でも品質はイマイチです。ユニクロでは品質が売りになるかと思いますが、値段はどうなるのでしょうか。日本より大分高くなってしまうのだったら個人的にもかなり残念。スペイン人には受け入れられるか?懐疑的な意見が多いですが、日本人としては成功してくれるとうれしいですね。

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