第44回 スペイン語と色

赤はスペインを代表する色。しかし、国旗を見ればスペインの色が単純ではないことが分かる。正式な国旗には赤、黄、赤の三色帯の中にCastilla、 León、Aragón、 Navarra、Granada各王国の紋章とスペイン王、ブルボン家、神聖ローマ帝国の王冠も描かれヘラクレスの柱が両側に立っている。使われている色 は赤、白、黒、黄色、青、緑、紫、金色、銀色と9色にも及ぶ。 多彩な色はスペイン統一までの長い歴史を物語っている。

アンダルシア地方では建物に白と青が好まれる。800年間この地方を支配したアラブ人の影響だろう。スペイン語のazul「青」はアラビア語語源と言われ、azulejo「色タイル」、lapizlázuli「瑠璃」にその痕跡を見ることが出来る。窓を青色に塗る習慣がスペイン人により新大陸に持ち込まれ、ニューメキシコにはアドベ(adobe)の家に青い窓の家が多くニューメキシコ様式建築の特徴となっている。

コロラド河はグランド・キャニオンを抜けメキシコのカリフォルニア湾に注ぐ。渓谷を削った泥で川は赤茶けた色となり、Rio Colorado「赤い河」の語源となった。スペイン語には日本語のように青(azul)と緑(verde)を混同した表現はない。青い山脈、青リンゴ、 青田、青信号などの青はすべて緑(verde)である。

古歌「しのぶれど色にいでにけり・・・」を学ぶ外国人は「色」が表す多様な意味(顔色、表情、愛人など)に戸惑うことだろう。民族と色の関係は民族固有の文化と深く関係するので辞書だけでは分からないことが多い。
(川内)

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