第3回 悪魔の橋

水道橋は「悪魔」が作った?

スペインをはじめヨーロッパには「悪魔の橋」と呼ばれる橋がいくつかある。その中でも巨大でかつ有名なものは、何といっても世界遺産にもなっているスペイン・セゴビアの水道橋だろう。「悪魔の橋」と呼ばれる伝説話にはいくつかのパターンがあるのだが、セゴビアではおおよそどのストーリーも水汲みに困った少女と契約した悪魔が一晩で作ったという話である。そしてその少女は最後の1つの石を悪魔が積む前に夜が明けて難を逃れたというものだ。

カルタゴが滅亡したのち、ローマはイスパニアの支配を行った。このセゴビアを占領したローマがまず初めに行ったことは水道の敷設である。紀元前80年にこの地を制圧して以降、ローマは水源の確保のためセゴビアから約17km離れた川より取水し、水道を敷設した。当時の技術では水道管を利用して圧力をかけて給水できなかったため、セゴビア旧市街のある丘上と同じ高さまで導水路を給水源から引き、旧市街地の丘の上と同じ高さの水道橋を通し、橋の上から水を取水する形を取った。

橋の全長は728m、2層アーチ式上下水道で、径間6m、119個のアーチが整然と続くさまは圧巻である。 地上からの高さが約30mに対して、幅はわずかに4m。古代ローマの建設技術のすごさが建築を知らない人間でもわかる建造物である。

この橋はローマが滅亡後も使用されてきたが、イスラム教徒が支配し、のちに撤退するときにアーチのいくつかを破壊したことで使用不可となる。しかし、15世紀末にカスティーリャ王国のイザベル1世が修復し、再び利用されることになった。

「悪魔の橋」という名称がいつの時代につけられたものかはわからないが、ローマ滅亡ののち、このような優れたアーチ橋を作る技術が失われた中世に、当時の人々はオーバーテクノロジーである「悪魔の技」として畏敬の念を持って「悪魔の橋」と名前を呼んだのではないだろうか。

<画像引用>
By David Corral Gadea投稿者自身による作品, CC BY-SA 3.0 es, Link

関連記事

ページ上部へ戻る