第4回 少女マリアの大発見


1879年、スペイン北部カンタブリアの州都サンタンデールから西へ約30キロほど行ったサンティリャーナ・デル・マル(Santillana del Mar)近郊で世紀の発見があった。

この地の法律家でもあり、郷土学研究者でもあるマルセリーノ・デ・サウトゥオラ氏(一説によるとこの人物は、伯爵ともカンタブリアのエンジニアとも古美術コレクターであったとも諸説ある)と8歳の娘マリアはサンティリャーナ・デル・マル近郊の洞窟を訪れた。洞窟自体はすでに地元の猟師が発見しており、マルセリーノ氏も訪れたことがある場所であった。

洞窟の奥のほうから「上を見て(Alta Mira)!お父さん」と娘が指を指しながら呼んだという。娘の声のほうに向かうと、その指差した先には色鮮やかな牛の絵が描かれていた。ほかにもイノシシ、トナカイ、馬など動物が中心に赤や黄色で巧みに描かれている。旧石器時代のクロマニョン人によって描かれた洞窟壁画の最初の発見である(アルタミラの名称はほかの説もある)。

当初、学者からは「壁画はいたずら」と否定的見解がなされていたが、1900年代に入り科学的な調査が進みようやく本物として認められることとなった。これを旧石器時代のものと信じていたマルセリーノ氏の死後のことである。

アルタミラ洞窟は外気から遮断されていたため、非常に良い保存状態でその姿を現したが、外気に触れてからは痛みが激しく、現在では非公開となっている。マドリードの国立考古学博物館やカンタブリアのアルタミラ博物館ではレプリカを見ることができる。身近な場所では三重県にあるパルケエスパーニャの内部にあるハビエル城博物館でも見ることができる。

アルタミラ洞窟壁画はフランスのラスコー洞窟の壁画と並ぶ先史時代の代表的な壁画である。現物を見ることは保護の観点からできなくなったが、近くに行く際にはレプリカでも見てみたいものだ。

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